完成条件
中长文读解
以下は、スポーツの指導者が子どもを叱ることについて書かれた文章である。
叱ることの本来の目的は「叱られた原因を理解する」「自分の間違いに気づく」「うまくいかせるために次に取るべき行動がわかる」の3点です。
特に重要なのが、次に取るべき行動がわかることです。叱られたことで、自信をなくして次の行動が取れなくなることは、「叱る」という本来の目的からはずれることになります。
(中略)
「叱る」とは、叱ることで子どもがどのような反応を起こすか、すべて計算されていること。つまり「叱ることで子どもがどんな行動を起こすか」が、予想できていなければならない、ということです。そもそも(注1)叱ることは、子どもの成長が目的なのです。
これに対し、「怒る」は感情的な行為です。ときには怒りや憎しみを伴います。また、子ども自身を否定することにもなりかねません。指導者は「叱る」「怒る」の違いを常に自問自答する(注2)ことが大切です。さらには、「君自身を指定しているわけではないのだよ、君のしたことを叱っているのだ」と伝えましょう。つまり、人格(注3)を含めてすべてを頭ごなしに(注4)叱るのではなく、ポイントで叱るのです。
ここで、「叱る」上での注意点を1つ。叱ることが何度も続くと、叱られるに対する慣れが生じ、「いつものことか」と子どもが感じ取り、指導者の本当に言いたいことが伝わらないということがあります。叱ることによって、得られる効果が半減しないためにも、指導者は日頃から注意深く、また意思をもって、自らと向き合う必要があるのです。
(注1)そもそも:本来
(注2)自問自答する:自分に問いかけ、自分で答える
(注3)人格:性格
(注4)頭ごなしに:最初から一方的に